Saturday, May 25, 2013

フードアナリストの為の外国語と異文化理解 - Part 1

フードアナリストの皆さん!アレックスです。

早速、「フードアナリストの外国語と異文化理解のシリーズ」をスタートしたいと思います。

クイズです。この料理の写真をご覧下さい。

  

  

この料理は、或る国の代表的な料理です。

Q1)何という料理ですか?
Q2)どこの代表的な料理ですか?
Q3)この料理を作るには、何の材料を使いますか?
Q4)ご覧の様にこの料理は、セットで出されます。そのサイドディッシュはなんでしょうか?
Q5)日本で食べられますか?

アレックスは、この料理が大好き!写真を見るだけでヨダレが垂れます!

来週、解説を紹介したいと思います。

みお先生のタイムラインでたくさんのコメント・議論をお待ちしております。

よろしくお願い致します。


アレックス

Monday, May 20, 2013

翻訳ソフトを過信して大丈夫かな?

翻訳ソフトを過信して大丈夫かな?

最近、多くの人が、翻訳ソフトを使用してメール、ホームページ、書類などを自動的に翻訳しています。翻訳ソフトがあると翻訳者が要らなくなるので、翻訳の仕事をしている私みたいな人には、仕事の依頼が来なくなるだろうから困るでしょうと言われますがそれは違います。

確かにとても便利なツールですが、予期せぬ弊害を招くことも多々あります。

いくらソフト開発が進んでも、ソフトは人間の翻訳者の代わりにはなりません。例えば、和文原稿の英訳翻訳作業を行う翻訳者は、日本語の深い理解を要求される事はもちろんのこと、翻訳作業は日本語の単語力・文法、さらに言語的な知識だけではなく、日本の文化にも通じていないと細かいニュアンスの翻訳ができない場合が多いのです。

例えて言うと、翻訳の行程は、写真家の仕事に似ています。写真家は撮影する時、撮影の背景、撮影角度、撮影会場の照明、婚礼の撮影だと衣装の事も考えながら撮影を行います。

今はデジカメの時代なので、例えば結婚式・披露宴の写真を、わざわざ写真家に頼まずに、気軽な気持ちで友人に頼めば十分だろうと考えている方が多いと思います。しかし素人の撮影とプロの撮影とでは違いは一目瞭然です。素人に撮影を頼むと後悔する場合が多いのも事実です。

翻訳業務も同じです。写真家にとっての照明、撮影背景の選択、衣装などについての知識は、翻訳者にとっての言葉のニュアンス、その国の文化、マナーなどについての知識と同じ様なものだと言えます。

Google翻訳ソフトを使って2つの実験をしてみました。


第1の実験。海外のお客様にデータ入力作業の請求書を送って欲しいとお願いする時、このような内容の文章を入力したとします。


原文と翻訳文を見てみましょう。

1.「早めにデータ入力作業の請求書を送って頂けると有難く思います。」の訳文は、

I’d appreciate if you send an invoice for the data entry work as soon as possible.

です。とても面白いのは、この翻訳ソフトが日本語の敬語を翻訳することが出来るということです。欧州系言語と比較すると、日本語の敬語ではとても複雑な文法を求められます。余談ですが、日本人は、敬語をあまり意識せずに使っているかもしれませんが、外国人が日本語の敬語の複雑なルールに慣れるまでには長い時間がかかります。「有難く思います。」の訳文は、「I’d appreciate」で適切だと思います。

訳文を理解することはできますが、文法の間違いと代名詞が足りないところがあります。「I’d appreciate」の「’d」は「would」なので「if you send」ではなく「if you sent」が正しい文法です。それから「us」という代名詞を付けて「if you sent us」の方が正式です。この場合は、「us」というのは、「弊社」という意味も含まれています。「us」という代名詞を使うので、主語も「We」にして訳文の人称を統一しましょう。お勧めの訳文は、

We’d appreciate if you sent us an invoice for the data entry work as soon as possible.

となります。

ビジネスシーンでは日常的に使われる「よろしくお願いします。」の訳文はどうでしょう?このセリフは、日本語の独特な表現で、外国語にはとても訳しにくいと言われています。このソフトの訳文は、

Thanks in advance.

です。「Thanks in advance.」の意味は、「予めお礼を言っておきます」です。この場合の「よろしくお願いします」の英訳文は、「Thanks in advance」だと適切ですし、訳された英文メールの全体的な意味が分かります。


第2の実験。この文章を入力してみました。


ご覧の通り、原文は日本語での簡単な自己紹介文です。その英訳文は、どうでしょう?詳しく見てみましょう。
1.「はじめまして」の訳文は、

Nice to meet you.

です。ここは、問題がありません。

2.「アレックスです」の訳文は、

it’s Alex.

です。日本語で自己紹介をする時、通常の会話のように主語(この場合、私)を省略してしまうと、翻訳ソフトが主語を特定できなくなり「it’s」(それは)と訳してしまいます。訳文の意味は、「はじめまして、それはアレックスです。」となります。おかしく聞こえますね。意図する点がずれてしまってます。

3.「よろしくお願いします」の訳文は、前述のとおり

Thanks in advance.

です。英語で自己紹介する時、普通は「予めお礼を言っておきます」とは言わないでしょう。インターネットで「よろしくお願いします」の意味を検索すると・・・

Please, be nice to me!
私によくして下さい。

Please, take care of me!
私の世話をして下さい。

I beg your kindness.
あなたの優しさを頼む!

・・・が出てきます。その三つの英語のフレーズもその和訳文も言わないでしょう。

結局、「はじめまして、アレックスです。よろしくお願いします」の「よろしくお願いします」の部分は、訳さなくても良いのです。翻訳ソフトは、その様な判断が出来ません。

この実験から分かる通り、翻訳ソフトを使い、ビジネス文章・メールなどを作成して海外の取引先の方に送るのは、お勧め出来ません。適切な英文は、会社の国際名刺になります。海外の取引先と不適切な英語でメールなどでやり取りをしようとすると、相手に安心を伝えることは難しくなります。それが原因で、スムーズに早く良いビジネスに繋がる確率は低くなる可能性があります。

もちろん英語でビジネスメール・書類・企画書などを書けるようになることが一番良いのですが、ハイレベルの英語の知識を取得するには努力と時間が必要です。そのレベル達するまで、プロに翻訳・校正を任せておいた方が安全と言えます。

ありがとうございました!